土壌汚染を引き起こす原因について考える

1.土壌汚染とは

 土壌汚染は、有害な物質(特定有害物質といいます)が土壌に浸透し、土壌や地下水が汚染された状態のことです。

 土壌汚染の特徴として、汚染されてもはっきりとした変化は少なく、基本的に目に見えづらいことがあります。そのため、気づかないうちに汚染が進行していた、というケースも考えられます。

また、土壌汚染の原因となる有害物質は大気汚染などと異なり移動しづらく、長期的に留まることが多いため、一度土壌汚染が起きてしまうと、たとえ原因を取り除いたとしても長くその影響が続きます。

そして、完全に除去・浄化しようとすると、莫大なコストがかかります。大規模な浄化や除去になると数千万~億という費用になることもあります。

この土壌汚染の浄化コストが、土地価格に反映されてしまうことも問題となっています。

 

2.土壌汚染の原因物質

 法律で定められている土壌汚染の有害物質(特定有害物質)には、3種類あります。

①揮発性有害物質(ベンゼンなど) 12物質

 クロロエチレン

 四塩化炭素

 1,2-ジクロロエタン

 1,1-ジクロロエチレン

 シス-1,2-ジクロロエチレン

 1,3-ジクロロプロペン

 ジクロロメタン

 テトラクロロエチレン

 1,1,1-トリクロロエタン

 1,1,2-トリクロロエタン

 トリクロロエチレン

 ベンゼン

②重金属類(六価クロムやカドミニウムなど) 9物質

 カドミウム及びその化合物

 六価クロム化合物

 シアン化合物

 水銀及びその化合物

 セレン及びその化合物

 鉛及びその化合物

 砒素及びその化合物

 ふっ素及びその化合物

 ほう素及びその化合物

③PCBと農薬類(主に過去に使われていたもの) 5物質

 シマジン

 チオベンカルブ

 チウラム

 ポリ塩化ビフェニル(PCB)

 有機りん化合物

 

3.土壌汚染はどのようにして生じるか

 土壌汚染が生じる原因として、以下のようなものが考えられます。

 ・工場などで使用中に、有害物質がこぼれたり、有害物質を含む排水が漏れたりして土の中に入った

・有害な物質を含む廃棄物が土の中に埋められて、雨などによって周りの土に溶けだした

・排気ガスや飛灰といった大気中の物質が土壌に落ちる

 

4.土壌汚染の健康リスク

土壌汚染が引き起こす影響には、人体に対するものもあります。

例えば土壌汚染の人体への影響は、以下のようなことが原因となって起きるとされています。

 

・汚染された土壌の土が口に入る

・汚染された土壌の土を直接皮膚で触る

・汚染された土壌から染み出した地下水を飲む

 上記のような暴露経路で人体に取り込まれ、健康被害を及ぼすことが考えられています。

 

5.土壌汚染を引き起こさないために

  土壌汚染対策の主体となっているのは「土壌汚染対策法」です。

  同法は、土壌汚染の状況把握と措置を通じて、人への健康被害を未然に防ぐことを目的にしています。

 「土壌汚染対策法」に基づいて土地の所有者や事業者が積極的な土壌汚染の調査を行うことで、

土壌汚染の状況を把握することができ、有効な対策につながると考えられます。

  また、土壌汚染は自分に関係ないと思っている人たちに、土壌汚染の原因や現状について学ぶことで土壌汚染への関心を持ってもらい、意識の変化を促すことも大切だと考えられます。

  都道府県・市町村が公開している要措置区域などの指定状況を確認してみたり、

  先に挙げた特定有害物質が、どのようなところで使われているか、どんなものに含まれているのかを調べてみるのもよいことです。

 

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